草加の池で小物釣り 「雨は行かない理由にならないんだなぁ」
朝4時過ぎ。
アラームをかけていたわけではありませんが目を覚ましました。
外からはパタパタと雨音が聞こえます。
そっと起き出して着替えをして、忍び足で玄関に向かいました。
奥さんには早朝から昼まで出掛ける事は伝えてありました。
向かうは草加の池です。
その昔、山登りをしていた頃に使っていたレインスーツを持ち出して、足元はゴム長です。
ズボンもジーパンでは濡れてしまった時に乾きにくいので、これまた登山に使っていた速乾性のあるものをチョイスしました。
この帽子は日除け帽子なんですが、ツバが広いので雨の日に使うと笠地蔵みたいな感じになって、レインジャケットのフードを使わなくて済みます。フードは周りの音が聴こえにくくなるのであまり好きではありません。
ちなみに僕は、この帽子を鉄朗帽子と呼んでかれこれ10年近く愛用しています。
早朝の、おまけに雨降りの池には誰もいませんでした。
荷物の上に傘を開いて、僕は雨ざらしで釣りを始めます。
一投目から細かいあたりがあります。
時折ウキが沈みますが、鈎がかりしません。
どうやらモツゴがつついているみたいです。
この時の鈎は、いつも通りヘラスレ鈎2号です。空振りが続いて何度目かに合わせたら、タナゴがスレ掛りしていました。
鈎を外して池に放しましたが、ユラユラと頼りなく泳いでいて、かわいそうなことをしました。
渋い時間は続きましたが、一旦鮒が釣れると続くようになりました。
だいたい10センチくらいの小鮒がポコポコと釣れて、合間にタナゴやモツゴがかかる感じです。鮒以外の小物はスレ掛りも多く、魚影が濃いのも一長一短あります。
あんまり餌がつつかれるので、いっそのこと小物釣りをする事にして、竿を六尺へ変更します。0.8号の道糸に小物ウキ、秋田狐の1号鈎という小物仕掛けを結びました。
タナゴ鈎にしようかとも思いましたが、なんとなく小鮒に未練があったので食った時に掛かるようにと秋田狐です。
型の良いタナゴが多く、アタリが大きいので合わせは大雑把でも釣れます。
綺麗なオスです。メスはみんな産卵管がヒョロンと伸びていました。
根がかりした時にハリスが切れたので、鈎を替えようとした時、
クロ(時々トラ)がいるのに気がつきました。
いつから待っていたんでしょうね。
目が合うとようやく、ニャーとおねだりをしてきました。
モツゴが何匹かバケツに入っていたのでお裾分けしました。
しばらくすると、もう待っていてももらえないと思ったのか、ニャーと鳴いてからどこかへ行ってしまいました。
時折雨の切れ間もありましたがレインジャケットは脱げない天気でした。それでも楽しいひと時を過ごして納竿です。
釣果もまずまずです。
産卵管の伸びたメスは、なるべくその場でリリースしていたので、20匹くらいは釣ったみたいです。
片付けをして、9時頃から少し離れたところで釣りをしていたベテランさんに挨拶をして帰ろうと、声をかけました。御歳80歳という大ベテランでした。
ヘラを狙っているのかと思っていましたが、どうやらマブナ釣りだったようで、ビクの中には小鮒がみっしり入っていました。
マブナ釣りだったと分かれば、色々ご教授願いたいもので、邪魔にならない程度に仕掛けや鈎の事を色々教えてもらいました。
道具は使わずに、すべての鈎は手結びしているのだとか。僕もこの間、初めて鈎を結んだのだと言うと、
「自分で結んだ鈎を使ったり、仕掛けを工夫したりして、それで釣れたら一番楽しいんだよ」
とのお言葉をいただきました。
別れ際、今日はあいにくの天気でしたね、と言ったら素敵な返事がありました。
「好きで釣りをしているんだから、雨だからって釣りに行かない理由にはならないんだよね」
そうなんです。
僕もまさにそう思って今朝は家を出たのでした。
登山をしていた頃も、雨で中止にした事はありませんでした。そりゃ晴れてくれればそれが一番ですけど、雨の中を静かに山歩きするのも、それはそれで悪くないものでした。
釣りもそうです。
雨だと、いつも賑わう釣り場も本当に静かだし、雨音を聴きながらウキを眺めるというのは、雨の日にしかできない釣りなんですね。
そして運が良ければ、同じような思いで釣りを楽しむベテランから含蓄のある言葉をもらうこともできます。
というわけで、物好きだなあと言われつつ、本日も楽しいひと時を過ごしたのでした。
本日の遊び道具
延べ竿 十尺
道糸1.5号 唐辛子ウキ ガン玉5号
ヘラスレ鈎2号 ハリス0.8号
延べ竿六尺
道糸0.8号 中通し小物ウキ 板オモリ
秋田狐スレ1号 ハリス0.3号
おまけ 愛用の鉄朗帽子